篆書体とは|読み方・歴史・特徴と、ハンコに使われる理由
ハンコや落款印でよく見る、くるくるとした不思議な形の文字。これが篆書体(てんしょたい)です。「どうしてハンコは篆書体なの?」「どうやって読むの?」という疑問に答えながら、篆書体の歴史と特徴をやさしくまとめました。
この記事のまとめ
- 篆書体は、いまの楷書よりずっと古い漢字の書体。読み方は「てんしょたい」。
- 大きく「大篆(だいてん)」と「小篆(しょうてん)」に分けられ、ふつう篆書体といえば小篆を指します。
- 線の太さが一定、縦長、左右のつりあいがよいのが特徴です。
- ふだんの文字としては使われなくなりましたが、ハンコ(篆刻)の文字としていまも使われています。
篆書体とは
篆書体は、漢字の古い書体のひとつで、「篆書(てんしょ)」「篆文(てんぶん)」ともいいます。「篆」の字は、ふだんはあまり見かけませんが、「てん」と読みます。
漢字の書体は、長い時間をかけて形を変えてきました。篆書体は、私たちがふだん使っている楷書が生まれるよりずっと前の書体です。
大篆と小篆のちがい
大篆(だいてん)
小篆のもとになった、より古い篆書です。青銅器に刻まれた金文の流れをくみ、石に刻まれた「石鼓文(せっこぶん)」などに見られます。字の形がまだそろっておらず、飾りの多い字もあります。
小篆(しょうてん)
中国を統一した秦の始皇帝のころ、それまで国ごとにばらばらだった文字を一つにまとめる中で整えられた書体です。宰相の李斯(りし)がかかわったと伝えられています。字の大きさや形がそろい、いまの漢字の基礎になりました。
のちに後漢の許慎(きょしん)がまとめた字書『説文解字(せつもんかいじ)』は、この小篆を見出しにして漢字の成り立ちを説明しており、篆書を調べるときの大切な資料になっています。
篆書体(小篆)の特徴
- 線の太さが一定:筆の「とめ・はね・はらい」がなく、同じ太さの線で書きます。
- 縦長の形:字全体が縦に長い長方形におさまります。
- 左右のつりあい:左右対称に近い、どっしりと整った形の字が多くあります。
- 線の端が丸い:線の始まりと終わりが丸くおさまり、曲線が多く使われます。
どうしてハンコは篆書体なの?
篆書体は、ふだんの文字としては隷書や楷書に役目をゆずりましたが、印(ハンコ)の文字としては使われつづけました。古くから印には篆書が使われ、元・明の時代以降には、篆書で印を彫る篆刻(てんこく)が書や絵と並ぶ芸術として親しまれるようになりました。
日本でも、身近なところで篆書体を見ることができます。たとえば日本のお札(日本銀行券)に押されている赤い印の文字も篆書体です。
印のための篆書「印篆(いんてん)」
印に彫るときは、小篆をそのまま使うのではなく、四角い印面に合わせて形を変えた篆書を使うことがよくあります。曲線をまっすぐな線や角ばった線にして、四角い枠にすっきりおさまるようにした書体で、「印篆」や「繆篆(びゅうてん)」と呼ばれます。漢の時代の印(漢印)に多く見られる形です。
篆書体の読み方のコツ
篆書体は、いまの漢字と形が大きくちがうので、最初はなかなか読めません。読むときは次の順で考えると手がかりが見つかります。
- 部首を探す:「水(氵)」「木」「口」「人」などの部首は、篆書でも形の名残があることが多く、手がかりになります。
- 字典で確かめる:篆書の字典では、楷書から引いて篆書の形を調べられます。
- 同じ字が何通りもあると知っておく:篆書には、同じ漢字でも形のちがう書き方がいくつもあります。
自分の名前を篆書体にするときの調べ方や、変換サイトを使うときに気をつけたい点は、篆刻の文字の調べ方で詳しく紹介しています。よく使われる名前の漢字は名前の漢字を篆書体・隷書体・行書体で見比べるで見られます。
篆書体のハンコを作ってみる
- デザインを見てみる:篆刻デザイン(無料)で、名前を篆書体の印にしたイメージを確かめられます。
- 自分で彫る:道具一式がそろった篆刻 初心者セットと、彫りやすい練習用の印材がおすすめです。
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よくある質問
Q. 篆書体の読み方は?
A. 「てんしょたい」と読みます。「篆書(てんしょ)」とも呼ばれます。
Q. 篆書と篆刻はどうちがいますか?
A. 篆書は書体(文字の形)の名前で、篆刻は主に篆書を使って石などに印を彫ること、またその作品をいいます。
Q. ひらがなやカタカナは篆書体にできますか?
A. 篆書は漢字の書体なので、ひらがな・カタカナの篆書はもともとありません。印にするときは、篆書の雰囲気に合わせてデザインする方法があります。